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2020.11.27

燕市産業史料館で鎚目入れ体験してきました!

こんにちは、新潟トラベルのハルです。

  • 新潟県燕市と言えば、包丁やナイフ、洋食器などの金属産業の一大産地として有名です。
  • なかでも、伝統技術の鎚起銅器(ついきどうき)は有名で、こちらは文字どおり、鋳型にドロドロの金属を流し込んで造る鋳造(ちゅうぞう)ではなく、銅の一枚板を金槌で叩いて(起こして)器を造ってしまう技術なのです。
  • この「金属を叩いて作る」という技術を鍛造(たんぞう)といい、この燕市で行われているのは、その最高峰の1つと言っても過言ではないものなのです!

ハルも先日燕市に行った際、これを気軽に体験できる「純銅タンブラーの鎚目入れ体験」をしてきましたのでご紹介します!

  • 場所は、JR燕三条駅から車で5分程度の燕市産業史料館です。
  • 1973年オープンだそうですが、昨年2019年に体験工房館が併設されリニューアルオープンしたそうで、見た目もピカピカに真新しい施設です。
  • ちなみにこちらは、「資料館」ではなく「史料館」と書きます。
  • 単に資料を収蔵するだけではなく、歴“史”を学び、体感するという意味が込められているそうで、実際修学旅行や企業視察・新人研修の見学地として、こちらを訪れる場合も多いそうですよ。
  • 入場料は大人400円、小・中・高校生100円です。(2020年11月時点)
  • 中に入ってすぐ右手には新館があり、今ではなかなか拝めない懐かしの金属食器がずらりと並ぶ「洋食器展示室」や、これまたコレクション数もハンパ無い「世界のスプーン館」などがありますが、今回は入って直進した先、屋外交流広場に面した体験工房館へ。
  • さっそく純銅タンブラーの鎚目入れを体験します!

  • 今回体験する「純銅タンブラーの鎚目入れ体験」は2,200円、所要時間は約30分です。(2020年11月時点)
  • 他にもショットグラスやぐい呑みなども鎚目入れが出来るそうですが、せっかくなら大きいのをガンガン叩きたい(*^-^*)
  • ほら、デカければその分、日頃の鬱憤とかコロナバカヤローとかも、まるっとまとめて解消出来そうじゃないですか。
  • 体験コーナーは、空いていればすぐに体験することが出来ますよ!
  • ※注:純銅タンブラーの体験は1回につき最大20名まで出来るそうですが、他の器の鎚目入れ体験は最大3名だそうです。

早速席に着いて、準備OK。純銅のタンブラーと金鎚、軍手に金型がワンセットです。

  • タンブラーは高さ9cm弱ほどで、両手にすっぽりと収まるサイズ。
  • 熱伝導率が高い銅製なだけあり、程よい重さで手のひらに馴染む感じがします。
  • そしてこの金型も結構重いんです。
  • 叩いている内に動かないようにということなのでしょうが、つい足の上に落としてしまったりしたら骨折は免れなさそう…気を付けて叩きます。
  • 体験の前に鎚目入れの方法についてレクチャーをして頂きます。
  • 器を叩くときは金鎚をまっすぐ振り下ろすこと。打面以外の金鎚の角が当たると傷になります。
  • ・叩いているとだんだんと高い音に変わります。叩いて絞められた部分はもう変形しないので、添えた手で少しずつ器を回転させて、叩く場所をずらしながら鎚目を入れていきましょう。
  • ・全面に鎚目を入れずライン状にしたり、模様を描くことも出来ますが、飲み口部分はあんまり叩かない方が、口当たりが柔らかいのでお薦めです。
  • ・鎚起銅器の職人さんはそれぞれが独自のリズムで叩き進めていくそうです。が、初心者は休み休み叩いて下さい。
  • などなど。

説明を聞いて、いざスタートです!

  • では金型にタンブラーをスポッと嵌めて、まず最初の一打は器の下の方から。
  • ツルツルの器を金鎚で叩くというのは、ちょっとドキドキです。
  • 金属で金属を叩くなんてこと、普段は全然やりませんからね。
  • おそるおそる弱めに叩くと、「カン」という音がしてポツンとくぼみが付きました。
  • その大きさは直径3mmにも満たないほど。
  • あ、結構力を入れて叩いても大丈夫なんですね。
  • 調子に乗って何度か叩くと、音がカンカンから少し高いキンキンという感じになります。
  • 素人でも案外ちゃんと分かるもので、これが「次の部分を叩きなさい!」という合図です。

途中、中を覗き込んでみると、こんな具合に鎚目が浮かび上がっています。

  • これがビールの泡をきめ細かくまろやか~にしてくれるのだとか。
  • ちょっと金鎚の扱いにも慣れてきたところで、嬉しくなって更にスピードアップ!
  • …が、徐々に腕が疲れてきます。
  • だって普段こんなに金属叩くなんてこと無いですし。
  • うう、やっぱりもうちょい小さな器にしておけば良かったかな…。
  • でもこれを修学旅行の小学生のお子さん達なんかが軽々とやっていると聞くと、なんか悔しい(≧◇≦)
  • 後悔は先に立たないもので、慣れない軍手で金鎚の柄が滑りますが、悔しさ紛れに休み休み叩きます。
  • 金鎚は柄を長く持った方が振り下ろす力が少なくて楽らしいのですが、疲れてきたのとコントロールが効かなくなるのが怖くて上手く出来ず。

うーんやっぱり難しい!

  • 当初はこれくらいの鎚目で、こんな感じの模様にして…とか色々目論見ながら叩き始めたものの、後半になってくるともはや無心
  • 日頃の鬱憤とか何とかはすっかり忘れ、これは写経などに近い無の境地です。
  • でもきっと明日には筋肉痛だろうな…。
  • そうして黙々と没頭すること、かれこれ30分。
  • 時間いっぱい叩き続けて、どうにか完成にこぎ着けました!
  • 不慣れな女手で頑張った結果、鎚目は下から叩いてどうにか2/3辺りまで到達しました。
  • うーん、まぁ何とか様にはなったんじゃないでしょうか( ゚Д゚)?(←自分には甘い)
  • 改めて鎚起銅器の職人さんの技術と体力たるや推して知るべし、といった感じです。
  • ちなみに男性の方がパワーがある分進みが早いそうなのですが、女性の方がこだわり派が多いらしく、結構ギリギリまで粘って叩き続ける方が多いそうですよ。
  • これはかなり性格が表れますよね~。
  • でも達成感が有りますね! 楽しかったです。
  • また鎚目入れ体験は、陶器や磁器などの焼き物体験と違い、その日の内にそのままお持ち帰りできるのも嬉しいですよね。
  • ふふふ、今晩さっそく晩酌のお供をして貰いましょう( *´艸`)
  • ※注:熱伝導率が高いので、温かい飲み物を入れると熱さがそのままダイレクトに伝わります。熱燗よりビールや冷酒がお薦めです!

最後に、「お手入れについて」という紙を頂きました。

※使用後は柔らかいスポンジで水洗いをして、水分を柔らかい布でよく拭き取ってください。

 時折、柔らかい布で乾拭きすることで、趣のある光沢が加わってきます。

 塩分や酸気を付着したままにしておきますと、変色や緑青の発生原因となります。

 塩分や酸気が付いた場合は、柔らかいスポンジで水洗いをして、水分を柔らかい布でよく拭き取ってください。

  • とのこと。
  • 自分が作ったものをエイジングしながら楽しむ、というのもまた乙なものですよね。
  • 大事にお世話をしたいと思います。

他にも燕市産業史料館には、煙管(きせる)や矢立(やたて)などの繊細な彫金のコレクションや、燕市の江戸時代から現代に到る金属加工の歴史についての展示、鎚起銅器の歴史と目指すべき(?)人間国宝の作品なども展示されています。

こちらも陶器でもなく塗装でもなく、ただ金属の一枚板からスタートして作られているんですよ!

  • ▲ 木目金(もくめがね)の急須と壺。
  • 色は塗装でも釉薬でもなく、成分の異なる金属が何枚も重ねられていて(安易に言っていますが、このサイズでそれをやってのけるだけでも凄い!)、若狭塗りのように表面に違う配色が色とりどりに出るようにして作り上げられているそうです。
  • いやはや、職人さんの(良い意味でもはや変態チックな)情熱、恐れ入りました…。

  • 燕市産業史料館は、名前は少々堅苦しいかも知れませんが、とても楽しい体験スポットですよ!
  • お近くの方も是非訪れてみてはいかがでしょうか?